
かつて、ゲームが難しいのは当たり前だった。ゲームオーバーになれば最初からやり直しを喰らい、少ない残機でいやらしい配置の敵や障害物をいかに乗り越えるのか、何度も挑戦して工夫を重ねる日々だった。だが、ゲームはいつしか、そんなアーケードゲームのルーツから離れ、よりプレイヤーに優しい体験となった。セーブ機能やチェックポイントの追加、残機の廃止、サービス精神たっぷりの敵やステージのデザイン。誰だって簡単にヒーローになった気分が味わえるようになったのだが、人々はやがて昔のようなチャレンジングなゲームを求めるようになった。今から10年ほど前、『Demon’s Souls』や『Super Meat Boy』はそんな需要に応えはじめ、高難易度ゲームは再び広く流行る結果となった。
高難易度ゲームは確かに、面白い。だが、ただただ難しくあればいいというものでもない。本稿ではオススメの高難易度ゲームを紹介するわけだが、ピックアップしたのは最も難しいゲームではなく、難しさが面白さに直結していると感じた作品だ。気になったタイトルをピックアップして、死にまくってださい。
『Celeste』
『Super Meat Boy』の登場以来、高難易度プラットフォーマーはインディーゲームではありふれたものになっていた。そんな中で登場した『Celeste』もシンプルな操作と卓越したレベルデザインという点ではこれまでの傑作と同じであったが、特筆すべきは高難易度のステージにプレイヤーを立ち向かわせる演出と物語であろう。主人公のマデリンの内面を探求するために、プレイヤーは何度でも立ち上がり、高難易度ステージに挑戦する。ときおり挟まれるカットシーンや素晴らしいBGMは登山で体験する美しい風景のように我々を癒やしてくれる。ダッシュとジャンプという単純なメカニクスながらも、プレイヤーの成長を確実に感じさせ、厳しいステージを克服することに確かに意味がある。そういった側面で本作は数ある高難易度プラットフォーマーから一歩抜きん出た作品だ。――今井晋
『Bloodborne』
盾が基本装備になっておらず、ブロックのアクションがないことからもわかるように、『Bloodborne』の戦闘はすべてにおいて「攻撃は最大の防御なり」を体現したデザインだ。攻撃を受けて体力を奪われるとき、すぐに反撃すれば敵の血しぶきでその一部を取り返せる。突進してきた敵から逃げるのではなく、銃のカウンター撃ちでスタンさせる。回避するときは後ろではなく、斜め前へ。アグレッシブな立ち回りには常にリスクが伴うが、それをチャンスに変えられるかどうかはプレイヤーの腕次第。死にゲーはどうしても怯んでしまいがちだが、本作に限ってはひたすら前に出るしかない。――クラベ・エスラ
『The Witness』
基本は誰でもすぐに理解できる一筆書きパズルなのだが、それを解くたけでは飽き足らず、自らパズルを探し出さなければならないという真のパズル中毒者向けゲーム。ゲーム世界にこれでもかというほど一筆書きが詰め込まれていて、しかもひと目ではわからないようなものもたくさんある。だからプレイヤーは美しい島を行き来して「これはパズルか?」、「パズルだとしたら解き方は何だ?」と何度も頭をひねることになる。手垢にまみれた一筆書きパズルをここまで大きく展開するその規模感、誰にでもクリアできるわけではない度を超えた難しさ、それでいで一筆書きですべてを成立させるというデザインが一体となった本作は工芸品じみた美しさを放つ。――千葉芳樹
『ケツイ』
数多くある弾幕シューティングの中でも極めてパターン性が強いのが本作だ。ボス戦では初見では一体どうやって避けるのかまったくわからない幾何学模様が押し寄せてくる。しかし、弾幕の性質を見抜いた上で特定の動き方を実践すれば、意外にも簡単に避けられるものがある。さらに道中においても大量の敵機編隊と弾幕をさばく必要があり、それらはすべて自機の位置や状況を緻密にコントロールすることでなんとか克服する。接近して速攻する、画面端に敵弾をまとめる、弾幕に合わせて回転する。攻略すればするほど、まるで地獄のダンスのようなゲームプレイが出来上がるのが本作の魅力だ。――今井晋
『DARK SOULS III』
『DARK SOULS III』は死にゲーというジャンルの代表的なシリーズの最高傑作なのではないだろうか。『Bloodborne』リリース後の作品なだけあり、『DARK SOULS III』はシリーズでも屈指のアクション性を誇る。新たに追加されたアクション「戦技」により、武器にさらなる個性が生まれ、回数制限だった魔法はFPというゲージを消費して使うものになり、全体のゲームスピードが劇的に上がり、よりアグレッシブな立ち回りをプレイヤーに要求するようになった。従来作にあった枷のようなものがどんどん外れていく中で、難易度は落ちることはなくDLCに至るまで、ダークソウルの集大成としてはこれ以上ないクオリティに仕上がっている。――野口広志
『Super Hexagon』
インディークリエイターのTerry Cavanaghが開発した本作は究極のミニマリズムとでも呼べるゲームだ。中央の三角形の自機を左右に回転させながら、周囲から押し寄せる壁を回避する。たったこれだけのゲームプレイが、Chipzelによるハイテンションなチップチューンによってとてつもなくエキサイティングなものとなる。一番簡単な難易度ですら、最初はクリア不可能ではないかとすら思えるが、慣れてくると予想以上に簡単に避けることができ、まるで時間が止まったようにすら感じる。そして、ミニマルな幾何学模様が美しく思えてくる。古典的なアーケードゲームの美学である「easy to learn and difficult to master(覚えやすいが極めると難しい)」を完璧に体現した本作は、たしかに難易度は高いが、ビデオゲームのミニマリズムとしては『テトリス』以来の達成だと言える作品だ。――今井晋
『Getting Over It with Bennett Foddy』
「壺おじさん」である。下半身は壺、上半身は半裸の男という不思議な姿をしたおじさんが、なぜか「ハンマー1本で瓦礫の山の登頂を目指す」という珍妙さを極めたようなゲームだ。壺おじさんはハンマーを振り回して山を登る。プレイヤーはマウスを振り回しておじさんを動かす。操作自体は難しくないのに、予期せぬ事故が頻発し、壺おじさんは谷底や山のふもとにたびたび滑落してしまう。しかし、この難しさは我々が操作に慣れておらず、さらにあまりに正確に操作のフィードバックが行われてしまうことに起因する。「プレイヤーの習熟が、必ず困難を打破する」ということが難しいゲームの本質であるなら、本作もまた外せないタイトルになるだろう。――千葉芳樹
『Dead Cells』
『Dead Cells』は、失敗するとふりだしに戻る難しさ以上にとても丁寧な作りが印象的な、傑作2Dソウルライクだ。ランダム生成マップ・ローグライト・ビルド性を重視したシステムで、途中から再開できるようなチェックポイントはなく、死ぬと問答無用でステージ1からやり直しになってしまう。しかし、リプレイを促すスピードランにも向いた高いアクション性はもちろん、ランダム生成ながらもステージ難度に大きな振れ幅がないダンジョンの数々は、訪れる順番が決まっているため学習しやすいデザインになっており、プレイヤーの意欲をいたずらに削がない。――野口広志
『Return of the Obra Dinn』
現代の探偵ゲームの最高峰が『Return of the Obra Dinn』だ。舞台は行方を絶ってしばらくして、無人で帰港した商船オブラディン号。過去を見通す不思議な懐中時計を使って、この船で何が起きたのかを探るミステリーテイストのアドベンチャーゲームだ。プレイヤーの目的は登場人物の名前と職種、その消息(多くは死因)の組み合わせをすべて明らかにすることだが、これが存外難しい。というのも登場人物の服装から階級や職種を予想したり、会話内容から人間関係を推理したりと、とにかく観察眼が必要になるのだ。「もしかして」がたったひとつの証拠から確証に変わる快感は、計算され尽くした謎だからこその甘美な味わい。――千葉芳樹
『仁王』
和風×死にゲーというコンセプトの『仁王』は、高いオリジナリティもあって、フロム・ソフトウェア以外の開発スタジオからのソウルライクで最も成功したタイトルの1つだ。3つの「構え」と「残心」からなる洗練された戦闘システムはもちろん、敵や宝箱からドロップする装備品の性能がランダムで決まるハック&スラッシュ要素を取り入れ、ハクスラとしても遊べる面も併せ持つ。スタミナを一気に回復させられる「残心」を戦闘中どれくらいの頻度で行えるか?ほかとは違うスタミナ管理を乱しに敵はプレイヤーを追い詰める。Team NINJA制作ということもあり、その難易度は折り紙付きだ。続編『仁王2』も3月に発売され、こちらも同様に非常にクオリティの高い高難易度ゲームだ。――野口広志
『Ruiner』
見下ろし型の全方位シューティング、もしくはツインスティックシューターとして知られるこのジャンルはインディーゲームで非常に人気があり、高難易度なものが多い。中でも本作はサイバーパンクの世界観を反映した圧倒的なスピード感を強調した内容だ。プレイヤーは敵の猛攻に対して極めて早い判断と操作が求められ、瞬間移動のようなダッシュと時間をスロウにする能力を軸に立ち回らなければいけない。最初から全力で襲ってくる敵の攻撃に対して難易度の高さを痛感するだろうが、武器やスキルの様々な組み合わせを利用すれば必ず克服可能で、高い難易度に対して高性能のプレイヤーキャラクターをぶつけることで絶妙な難易度バランスを保っている。――今井晋
『Cuphead』
『Cuphead』の面白さはずばり、『魂斗羅』といった2Dアクションシューティングの基本をそのまま引き継いだ内容だが、なんといっても1930年代のアメリカンカートゥーンのビジュアルが目の癒やしとなる。高難易度ゲームはどうしても暗黒な世界観になる傾向があるが、本作ほどゲーム内容と見た目のギャップのある作品も珍しい。とはいえ、実は残酷な世界観が描かれている点も評価に値する。プレイヤーは次のステージやボスが見たい一心で、突破できない場面に何度も挑むことになるだろう。すぐにやり直せることや、ステージ(あるいはボス)のどこまで進んだのかが可視化されていることによってモチベーションは維持しやすく、死にまくってもほとんどストレスを覚えず、達成感だけ残る珍しいゲームである。――クラベ・エスラ
『ダーケストダンジョン』
『ダーケストダンジョン』は一癖も二癖もある特性をもつ仲間と共にダンジョン攻略を目指すRPGだ。特性は暗がりが苦手という理由で暗所では常にデバフがつくものやダメージを受けると興奮する被虐体質、ダンジョンから無事帰還しても信仰嫌いでまともに回復できないなどが存在する。雇った段階では何も悪い特性がなくとも、共に行動をすることでトラウマを植え付けられデバフ特性を習得したりするため、プレイヤーは常に特性との付き合い方を考えて編成・指示しなければならない。これを楽しいと思えるかどうかで評価は大きく変わる。HP・MPのコスト管理やダメージ計算以上に、パーティーのメンタル管理が最も重要でそれが何よりも難しい唯一無二のRPGと言えるだろう。――野口広志
『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』
『Bloodborne』がひたすら前に出て攻撃するゲームだったのならば、『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』では守りに徹して戦うことが最大の美学となる。弾きや見切りを主体とした本作の剣戟において、敵を読むことが何よりも重要だ。他のゲームにもパリィや回避といったディフェンスはあるが、防御で敵の体幹を崩してスキを作るシステムは斬新だ。また、本作はフロム・ソフトウェアの他のタイトルと比べてRPG要素が控えめで、より純粋なアクションゲームとなっている。そのため、レベル上げやステータス強化によるごまかしが効かない。キャラクターではなく、プレイヤー自身が成長しなければならないゲームで、その学習過程は病みつきになること間違いなし。――クラベ・エスラ
『アンセスターズ:人類の旅』
「サルからヒトへの進化」という壮大な旅路を描く意欲作。プレイヤーはサルとなってジャングルに放り出され、試行錯誤を繰り返して道具を作ったり、二足歩行を習得したりして徐々にヒトへと進化していく。だが、サルは極めて非力だ。我が物顔でジャングルを闊歩するサーベルタイガーや人なら丸飲みしそうなほどデカいヘビなどが常に命を狙う。高所から落ちれば骨折もするし、外敵の攻撃で裂傷しようものなら命にかかわる。当初はアドバイスが本当に少なく、投げ出される感覚の強いゲームだったが、家庭用ゲーム機版のリリースに合わせて多少緩和した。本作はその難しさをもって、進化の道のりの果てしなさを感じさせてくれる稀有なゲームだ。――千葉芳樹
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May 03, 2020 at 11:08AM
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