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eスポーツも無観客試合へ 新型コロナがゲーム業界に与えるインパクト - Engadget 日本版

Gaming
中国で発生した新型コロナウイルスは我々の生活は勿論、経済への影響も見られてきました。筆者のウォッチしているゲーム産業でもゲームの発売延期やイベントの中止など既に広範囲に影響が及んでいます。本稿では、こうした影響を簡単にまとめました。

■ハード、ソフト問わず開発に影響も

中国が新型コロナウイルスによって大きな被害を受けたことにより、中国の製造業もダメージを受けました。デバイス機器の製造拠点が中国に集中しているということもあり、多くのゲームハードにも影響が及んでいます。例えば、任天堂はNintendo Switch本体と周辺機器の生産・出荷が滞り「Nintendo Switch あつまれ どうぶつの森セット」の予約開始も延期しました(2月8日予約開始予定を3月7日開始に延期)。


▲Nintendo Switch あつまれ どうぶつの森セット

Facebookも以前から続く「Oculus Quest」の品薄解消の見込みについて、コロナウイルスが影響する可能性があると発表しています。

また、表には出てきませんが、製造業への打撃は、「PlayStation 5」や「Xbox Series X」といった次世代機の開発にも遅れをもたらすでしょう。ハードの生産においては、さまざまな工程が数珠つなぎとなっているため、小さな遅れが大きな遅れに繋がることが予想されます。その結果、次世代機の発売が年単位で遅れてしまう可能性も懸念されます。

Xbox Series X▲Xbox Series X

また、ゲームソフトについてもNintendo Switchに移植される『アウター・ワールド』の販売が担当スタジオの一時的な閉鎖のために延期となりました。ゲームソフトにおいてはハードの供給状態に合わせてリリースを遅らせたりすることもあり得そうですし、VRデバイス不足はVRゲームを制作している小規模なスタジオの開発環境にも影響を及ぼしかねません。

新型コロナウイルスによる中国経済への打撃は、今後も何らかの形で様々な産業に影響する可能性は否定できません。中国と直接的に取引がなくとも、サプライチェーン上で間接的につながっている部分がある企業は既にその可能性を考慮していることでしょう。ゲーム産業も、こうしたリスクの上に立っています。
 

■イベントやeスポーツにも影響

各種ゲームイベントや、eスポーツも、新型コロナウイルスの影響を受けています。イベントでは、ソニーが新型コロナウイルスを懸念し、参加を予定した米国の大規模なゲームイベント「PAX East」への参加中止を発表。これにより同イベントで予定されていた、『The Last of Us II』(5月発売予定)のデモンストレーション披露が実質的に延期となりました。また、ゲーム開発者会議の「GDC 2020」でも、ソニーやマイクロソフト、Facebook、コジマプロダクションなど参加を取りやめる企業が続出しています。

新規タイトルに関する発表は適切なタイミングで行いたいという思惑がある以上、こうしたイベントへの参加取りやめ自体は苦渋の決断ともいえるでしょう。

GDC 2019▲昨年開催された「GDC 2019」

また、e-Sportsにも大きな影響がでています。中国では人気ゲーム『League of Legends(LOL)』のプロリーグが延期、再開に関しても未定となっています。『LOL』は中国において2年連続で世界王者もだし、ファンも多いタイトル。1つのチームにいくつものスポンサーもついている経済的にも大きな市場ということもあり再開が望まれています。また、日本のLOLプロリーグも当面の間、無観客試合にする旨を発表しました。

LOL 2019 World Championship▲昨年開催の『League of Legends』世界大会「2019 World Championship」

ほかにも『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(PUBG)』のベルリン大会も延期になっています。国内でもSNKが主催する大会「SNK World Championship JAPAN TOUR FINAL」「SNK World Championship GRAND FINAL」の延期が決まっています。

人が多く集まるイベント物は、感染リスクも高いため今後もこうした開催延期の発表が相次ぐのではないでしょうか。

■注目されるゲームも......


ゲームファン及び、経済界から悲鳴があがる一方で、注目されているゲームも存在します。それが『Plague Inc.』です。本作はウイルスを開発、世界に向けて感染させていくゲームであり、新型コロナウイルスの流行とともに中国でプレイヤー数が増加、各国のSNSでも話題に上がりました。これに対しては不謹慎という声もあり、本作を開発したNdemic Creationsはコメントを発表し「本作はゲームであり、現実ではない。新型コロナウイルスは膨大な数の人々に影響を与えていることに留意してほしい」「情報は地域及び世界の保健機関から入手することを推奨する」などと主張しています。27日にはPlague Inc.が中国のApp Storeから取り下げられたことも報じられています。

Plague Inc.▲Plague Inc.

一方でEpic Game Storeでは予定していた人気ボードゲームのデジタル版『Pandemic: The Board Game』の無料配布を突然中止。理由は明らかにされていませんが、本作がウイルスに対してプレイヤーで協力して立ち向かっていくという内容だけに、新型コロナウイルスの影響ではないかと思われます。

今後、どうなるか不明瞭な新型コロナウイルスですが、気が抜けない状況はしばらく続くでしょう。当面は多くの人が外出を控えるため、ゲームや動画配信サービスなどが暇潰しとして人気を集めていくことが予想されます。こうした動きは、ゲーム業界にとっては追い風に見えますが、上述した通り新作ゲームハードやソフト、イベント等は大きな打撃を受けかねません。これは他のガジェット産業にも同じことが言えるのではないでしょうか。
 
ともあれ、新型コロナウイルスのいち早い収束を願っています。読者の皆さまも不急の外出は控え、室内でゲームなどを楽しみましょう。

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February 28, 2020 at 10:22AM
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