Nintendo Switch Onlineで配信中
これまで「テニス」、「空手道」を紹介してきた特別企画「Stay at home!」。いまだ終息の時期が見えない新型コロナウィルスの影響で、きたる夏休みシーズンも引き続き外出を控える人も少なくないだろう。家で楽しくプレイできるゲームを紹介するだけでなく、攻略し、たっぷり楽しんでは惜しいという本企画だが、今回はNintendo Switch Onlineで現在配信されているスーパーファミコン版「スーパーパンチアウト!!」を攻略していきたい。
ファミリーコンピュータ版「パンチアウト!!」、およびスーパーファミコン版「スーパーパンチアウト!!」を皆さんはプレイされただろうか? もし遊んでいないのであれば、あまりにももったないことだ。なぜなら「パンチアウト!!」シリーズは、「今すぐSwitch本体を買ってでも遊べ!」と叫びたくなるほど、ボクシングゲーム史上、いや全スポーツゲーム史上でも傑作中の傑作だからだ。
ボクシングは駆け引き、テクニック、戦略……その極めて高い競技性は他の格闘技が比肩できない程に真摯なものだ。このためコミックや映画の題材にも多く使われてきた。しかし余りにストイックかつフィジカルな面が強すぎる上、"ファンタジー"が入る要素が少なく、ゲームにしづらい部分がある。必殺技やド派手な蹴り技などが盛り込まれる「格闘ゲーム」は大きく発展したのに、ボクシングゲームはヒット作が少ない。
「パンチアウト!!」シリーズはボクシングの興奮、ドラマを守りながら、思いっきりファンタジーを入れているところが楽しい。まず対戦相手は自分の何倍もある選手、しかもワープやら怒濤のラッシュやらまさに"マンガのような"必殺技を繰り出すのだ。しかし必ず"隙"を見せる。この隙をどう突くか? 「パンチアウト!!」シリーズはボクシングの興奮、高い競技性と、ゲームとしての面白さを持つ作品なのである。確かにストイックなボクシングを表現したゲームではないが、ボクシングの楽しさ、興奮を見事に表現した、ゲーム史に燦然と輝くゲームなのだ。
今回はシリーズの頂点である「スーパーパンチアウト!!」を中心に、魅力と攻略法を語って行きたい。この魅力を伝えるために原点と言える「パンチアウト!!」も紹介していく。どちらもNintendo Switch Onlineでプレイでき、そして楽しい。是非プレイし、勝利を掴んで欲しい。
ボクシングの斬新なゲーム化「パンチアウト」、そして「スーパーパンチアウト!!」へ
本シリーズは、1984年に登場したアーケードゲームの「パンチアウト」が元祖で、同年にはバージョンアップ版にあたる「スーパーパンチアウト」が早くも発売された。その後、1987年にファミコン版の「パンチアウト!!」(※非売品)と「マイク・タイソン パンチアウト!!」が相次いで登場。また1998年にはスーパーファミコン版の「スーパーパンチアウト!!」が、2009年にはWii版の「PUNCH-OUT!!」が発売されている。
筆者が最初にプレイした本シリーズのタイトルは、「マイク・タイソン パンチアウト!!」だった。最初のうちは、「有名ボクサーの名前を使っただけで、大したことないだろう」と正直タカをくくっていたが、いざ遊び始めたら良い意味で予想を大きく裏切られ、その面白さに衝撃を受けた。
相手ボクサーは、主人公のマックよりもサイズがはるかにサイズが大きいが、そんな大男たちにパンチを浴びせてKOできたときは気分爽快。しかも、サイズが大きいにもかかわらず、画面がチラついたり処理落ちしたりすることなく、滑らかに動いて多彩な攻撃を繰り出す迫力と美しさも群を抜いていた。パンチを当てると目をグルグル回し、悶絶しながらダウンしたり、なかには「打てるものなら打ってみろ!」と挑発するパフォーマンスを披露するボクサーもいて、敵なのに憎むどころか、むしろ親しみを覚えてしまう、その楽しさにまたたく間に魅了されてしまった。
タイソンのように、いかにもボクサーらしい、マッチョでコワモテなボクサーばかりが出てくるのかと思いきや、本シリーズにはダンサーやピエロ、中国拳法の使い手など、実に個性あふれるボクサーが登場する。しかも、ファイトスタイルはボクサーごとにまったく異なり、それぞれ得意のコンビネーションや必殺ブロー、奇想天外な数々の技(反則攻撃を繰り出すボクサーもいる!)を持っている。よって、試合に勝つためには相手ごとに独自の攻略パターンが必要になるところも、筆者が本シリーズを大のお気に入りにしている要因のひとつだ。
ディフェンス時は、相手が攻撃のモーションを起こした瞬間に、「ジャブがきた、上段ガードだ!」、「フックだ、スウェーでかわせるハズ!」、「アッパーだな、ダッキングで防ごう!」といった要領でダメージを防ぐ。相手の攻撃方法を察知してうまくかわせたときは、「どうだ、お前の攻撃を見切ったぞ!!」という快感が得られるのも、本シリーズならではの大きな魅力だ。また、相手の得意技をかわしたり、スキを突いてパンチを当てると、ショックのあまり相手がしばらくの間ボケて(※無防備状態になる)、メッタ打ちにするチャンスが得られることもある。迫力とコミカルさを併せ持つ、ボクサーたちのアクションの数々は見ているだけでも実に楽しい。
そして本シリーズのなかでも、特に筆者が推したいのが今回紹介する「スーパーパンチアウト!!」なのだ。その理由は、勝っても負けても短時間で決着がつくので、ちょっとした空き時間に気軽に楽しめて、出来得る限りの操作テクニックや反射神経を駆使して幾多のボクサーたちと戦う、濃密な時間を楽しむことができるからだ。
本作が発売されたのは、スーパーファミコン末期にあたる1998年で、世のトレンドはいわゆる次世代機へと移って久しいタイミングであり、しかもニンテンドーパワー書き換え専用ソフトだったため、プレーヤー間、専門誌上ともにあまり話題にならなかったと記憶している。なので、発売当時はその存在を知らず、後にWiiやWii U、3DSのバーチャルコンソールで配信されて初めて知ったという人も少なくないと思われる。そんな本作だが、今ではうれしいことにNintendo Switch Onlineに加入していれば遊び放題となっているのだ。
稀代の傑作が、このまま脚光を浴びることなく忘却されてしまうのはあまりにも惜しいと、筆者は以前から常々思っていた。ならば、この絶好の機会を利用して、本作の魅力を少しでも多くの人に知っていただきたいと思ったのが、本稿を執筆する動機となった次第である。もし後世になって、「『パンチアウト!!』は、『ゴルフJAPANコース』の上位入賞者へのプレゼントだった」程度の話題しか伝わらないとすれば実に残念なことだ。また、「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズに登場する「リトル・マックの元ネタ」とだけ記憶されるのも、本シリーズをこよなく愛する筆者にとっては甚だ不本意だ。
以下、本稿では「スーパーパンチアウト!!」ならではの面白さを、ビギナーが最初の壁となる相手ボクサーや、誰もが苦戦するであろう強敵との攻略法を交えつつ、余すところなくご紹介していくことにしよう。たとえ試合に勝てなくても、相手ボクサーたちのユニークかつ多彩な攻撃の数々は、見ているだけでも十分に楽しめるハズだ。
いまだ終息の時期が見えない新型コロナウィルスの影響で、きたる夏休みシーズンも引き続き外出を控える人も少なくないだろう。この機会に本作をぜひプレイして、少しでも楽しい時間を過ごしていただければ幸いだ。
令和になっても不滅の面白さ! 「スーパーパンチアウト!!」はココが面白い!!
筆者がなぜ、令和の時代になっても「スーパーパンチアウト!!」を皆さんにオススメするのか? その答えは、全16人の豊富かつ個性あふれるボクサーが登場し、多彩な攻撃、ディフェンスのパターン作りが楽しめる、本シリーズならではの面白さがぐっと凝縮され、高い完成度を誇るからだ。
操作方法はいたってシンプル。Yボタンを押すと左腕で、Bボタンを押すと右腕でボディブローを放ち、アナログスティックまたは十字ボタンの上を押しながらパンチを出すとジャブ(顔面へのパンチ)を出す。十字ボタンの左または右を入力するとスウェー、上を押すと上段、下を押すと下段ブロック(ガード)のポーズを取り、下を押すとダッキング(上体をかがむ)する。
パンチを当てるたびに画面下部のガッツメーターが増加し、満タンになるとAボタンで強力なスペシャルパンチを放つことができる。Aボタンのみ押すとKOをフックを相手のボディに、上を押しながらAボタンを押すとKOアッパーを顔面に向けて放つが、通常のパンチよりもモーションが大きいため、相手がボケていない場合はかわされたり、逆にカウンターパンチを浴びてしまうリスクがある。
パンチを放つ際にAボタンを2回続けて押すと、威力は小さいが相手にかわされるまで自動で打ち続ける、高速の左右連続パンチを繰り出すことも可能。ヒットするたびに、相手ボクサーが「ウッ!ウッ!」と続けざまにうめき声を上げるので、実に爽快だ。
また、パワーアップインジケーター(※画面左上にある、主人公の顔が描かれた部分)が点滅中は、パンチの速度と威力が通常よりもアップする。インジケーターの初期状態の色は青で、以下、赤→点滅→赤の順に一定時間ごとに立ち変化する。パワーアップ中は主人公のグローブが点滅するので、インジケーターを見る余裕がない場合は、グローブの点滅でパワーアップの有無を確認するといい。
なお、本作は3分1ラウンド制で、時間切れとなった場合はプレーヤーの負けになる。つまり、試合に勝つためには相手をTKO(3回ダウンを奪う)、またはKOすることが必要だ。よって、「体力が相手よりも上になったから、ガードを固めて逃げ切ろう」とか、「先にダウンを奪ったから、あとはクリンチして時間を稼ごう」などという戦い方は一切通用しない。先に進む手段は、相手をマットに沈めるることが唯一無二の方法なのだ(※そもそも、本作の主人公はクリンチができない)。
なお、Nintendo Switch版では残念ながらマニュアルが公開されていないが、Wii Uバーチャルコンソール版では公開されているので、ゲームシステムの詳細はこちらを参照していただきたいまた、基本操作やルールはデモ画面でも紹介されるので、ゲームを始める前にこちらも一度見ておくことをオススメする。
「相手の顔やボディに、パンチをただ当てるだけのゲームなんでしょ?」などと思ったら大間違い。パンチが当たって、ビシッという音とともに相手の顔がゆがんだときの爽快感が高いのは確かだ。だが、本作の真の面白さは、「このパンチを打ってきたら、スウェーでかわしてアッパーを3発当てる」とか、「ジャブをガードした直後、返し技のボディブローを当てる」などといったように、状況に応じて攻守一体となった操作を、正確にできるかどうかが問われるところにあるのだ。
また、相手が動き出した瞬間にカウンターパンチを当てると長時間ボケさせたり、場合によっては一発でダウンを奪うことも可能。相手ごとにカウンターが狙えるスキ、すなわち弱点を探しながら戦う楽しさがあるのも、本作ならではのだいご味だ。
ボクシングなのに、派手なコスチューム姿で戦いを挑んできたり、キックや武器、飛び道具を使って攻撃を仕掛けてくるボクサーが登場するのも、本作独特の面白さのひとつだ。ボクシングの常識とはまったくかけ離れているが、けっして奇をてらったネタでも何でもない。それぞれ独自の風貌、プレイスタイルを持つことで個性が際立ち、攻略法もきちんと存在しているので、ゲームをより楽しくする一要素として十分に成立しているのだ。
さらに、セコンドからの指示を受けると行動パターンが変化するボクサーもいるので、同じ相手でもセコンドの指示の有無によって攻略パターンを使い分ける必要があるのも、本作ならではの楽しいところだ。なかには1発受けただけで主人公が即ダウンしてしまう、強力な必殺技の使い手もいる。逆に、相手が繰り出す技の一瞬のスキを見切り、弱点を突けば1発でダウンを奪えることもあるし、相手に効率よくダメージを与えればテンカウント、すなわち3度目のダウンを奪わずに秒殺でKOすることも可能だ。一撃必殺のパンチで相手を倒すのか、それとも倒されてしまうのか? そんなスリリングな攻防が楽しめるのもたまらなくうれしい。
ボクシングという極めてシンプルなスポーツを題材にしながら、実は緻密で多彩な攻略パターンが存在し、それを正確に遂行する操作テクニックも求められ、おまけに多彩な演出で見た目にも楽しませてくれる、とても奥の深いゲームなのだ。
本作のメインとなるゲームモードは、難易度の低い順にマイナー、メジャー、ワールドの3種類のサーキットが選べる「チャンピオンシップモード」で、各サーキットの4人目に登場するチャンピオンを倒せば、晴れて王座奪取となりサーキットクリアとなる。3つのサーキットをすべてクリアすると、新たに最高レベルのスペシャル・サーキットにも参戦できるようになり、これをクリアするとエンディングを見ることができるお楽しみも用意されている。
倒し方を一度マスターした相手であっても、いかに高い得点を稼げるかを目指すスコアアタックと、短時間で倒せるかを競うタイムアタックの2種類の方法で繰り返し楽しめるのも、本作の素晴らしいところだ。得点は、サーキットごとに4試合の合計を集計する方式で、単にパンチを当てた数だけでなく、残りタイムや体力、奪ったダウン数などの要素を加算したうえで算出される。さらに、相手の弱点を的確に突くなど、倒し方を工夫すればするほど「スペシャルプライズ」も加算されるので、どうすれば高得点が叩き出せるのか、がとても楽しい。
「チャンピオンシップモード」ではコンティニューが可能だが、同じサーキット内で合計3回負けるとゲームオーバーになる。また、コンティニュー回数は5万点ごとに1回ずつ増え、サーキット終了時に残りコンティニュー回数が1回につき1万点が加算される。また、コンティニューなしで相手を倒すとボーナス得点が加算されるので、極限までハイスコアを突き詰めるには無敗でクリアし、なおかつカウンターやスペシャルパンチなど高得点を稼げるパンチを当てて倒し、エクステンドを何回獲得できるかがポイントとなる。
「タイムアタック」モードは、「チャンピオンシップモード」で一度勝利した相手を自由に選んで対戦することができる、クリアタイムを競うモードだ。ガードを固める相手にわざとパンチを外してスキを見せ、反撃してきた瞬間に逆に返り討ちにするなどのテクニックを編み出し、攻略パターンを極めれば30秒と掛からずに倒すことも可能だ。腕に自信のある人は、ぜひこちらのモードでもおのれの限界にチャレンジしてほしい。
たとえ同じ相手であっても、スコアアタックとタイムアタックとでは攻略パターンがおのずと変わってくるので、何度でも繰り返し遊ぶことができてプレーヤーを飽きさせることがないのだ。
今からでも遅くはない。「パンチアウト!!」シリーズならではの妙味を存分に楽しもう!
パンチを当てる、または相手の攻撃をかわすというボクシングの基本的な楽しさに加え、およそ本物のボクシングの世界ではあり得ない、常識外れのいでたちや攻撃の使い手が次々と登場し、エンターテインメントとしての要素もふんだんに盛り込み、独自の面白さを作り上げた「スーパーパンチアウト!!」。これほどの傑作を完成させた開発スタッフの仕事ぶりには、改めて敬服する。
なお、上記の攻略法は、あくまで一例にすぎない。例えば、スウェーに変えてガードで相手の攻撃を防ぎ、相手のガードの空いたところにパンチを打ち返すなど、別解はたくさん存在するのだ。慣れてきたら、皆さん流の自由な発想で、新たな得点稼ぎや秒殺法、あるいはカッコいいオリジナルコンビネーションを編み出すことによって、いっそう楽しさが増すことだろう。
「スーパーパンチアウト!!」以外にも、ありがたいことにNintendo Switchでは前述のファミコン版「パンチアウト!!」に加え、アーケード版の元祖「パンチアウト」の移植版も配信されている(※こちらはハムスターがDL販売しているので、別途購入が必要)。いぜんとして不要不急の外出を控えざるを得ない、厳しい状況が続いているが、本稿を通じて「パンチアウト!!」シリーズの素晴らしさを1人でも多くの皆さんに体験していただき、少しでも楽しい時間を過ごせる一助となれれば、筆者としてこれほどうれしいことはない。
(C)Nintendo
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August 17, 2020 at 10:00AM
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