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旅と癒しを求めてオープンワールドゲームを遊ぼう。『Last Oasis』をやったら修羅の国だったけどそれはそれでよし - ファミ通.com

 ビデオゲームの歴史の中でも新しいジャンルなのに、気づいたら浸透していた“オープンワールドゲーム”。でも、そもそもオープンワールドゲームってなんだっけ? パッと思い浮かぶ特徴は、“広々としたフィールド”やその中でプレイできる“自由なゲーム性”だろうか。

 あるとき、ふと思った。せっかくのゴールデンウイーク。オープンワールドゲームなら家に居ながらにして旅気分を味わえるのでは。そんなことをファミ通.comの編集者と話していたら『Last Oasis』を勧められた。

最初に言っておくと、本稿に「ゲームの世界を旅しよう」みたいな爽やかさはなく、筆者が修羅の国に放り込まれるお話です。

 『Last Oasis』はSteamで配信されているPC用MMORPG。荒廃して住める部分がほとんどなくなった地球を舞台に、ウォーカー”という乗りものを作り、遊牧民のように安息の地を探す。切ない情景が脳裏に浮かぶ。

 そして何より、ウォーカーが最高にカッコいい。ガチャガチャとギアが動いたり、木製なのに生物的な脚パーツがあったり。こういうマシンでフィールドを移動できるだけでも気分が高まる。 さらにこの乗りものを自分仕様にカスタマイズできるときたものだ。

脚部がガチャガチャと動くのがカッコいい。男の子ってこういうのが好きなんでしょ?

 なるほど。一抹の寂しさもあって旅情を感じられそうだし、癒されそうだ。わくわくする筆者に担当編集者がひと言。

「たぶん死ぬほどたいへんなので、思う存分あたふたして、それを原稿に書いてください」

 どういうことだ。話を整理すると、

  • ウォーカーは巨大な乗りものなので、製作用の資材を集めるのがたいへん
  • 自由なゲームなのでほかのプレイヤーに奪われるかもしれない
  • 集団に襲われたら落ち着いて対処してほしい

 知り合いをオンラインゲームに誘うときにかける言葉ではないと思う。とくに3つ目のやつ。

 とはいえ、古きよきMMORPG好きにとってはあるあるみたいなものだ。PK(Player Kill)や人に迷惑をかける行為を積極的に肯定する気はないが、ルールとして認められているのなら、ある程度は受け入れたいと思う。

 現実とは少し違うルールがあることも含めて“ゲームの中の異国”というものだ。これから始まる大冒険に胸が躍る。

丁寧なチュートリアルで導入はバッチリ。そしていきなりサバイバル!

 本作を一般的な表現でくくると“オープンワールドサバイバルゲーム”だろうか。ゲームを始めると裸一貫で一面砂漠と化した地球に降り立つ。ここが2020年のゴールデンウイークの旅先だ。

 ゲームによっては「世界は用意したのであとは自由にやってね」というハード仕様もあるが、本作はチュートリアルがとても丁寧だった。置いてけぼりになることはない。

 まずは資源の集めかたから、生き延びるために最低限必要な“水”の獲得方法から敵対NPC“Rupu”との戦いかたまで多岐に渡る。そして、そんなチュートリアルの中で憧れのウォーカーを作成できるのだ!

パーツごとに作成していく。徐々に組み上がっていく様子はワクワクする。
羽をつけるとこんな感じ。やっぱりカッコいい。

 チュートリアルはサクサク進んだが、Rupuの拠点を襲撃するミッションには苦労させられた。1体、ギリギリ2体くらいまでなら対処できるのだが、複数と同時に戦うのはなかなかに厳しい。

 Rupuもゴールデンウイークのレジャーとして襲われるとは思っていないだろうな。

 返り討ちにあってボコボコにされると、所持アイテムをすべてその場に落としてしまう。それ自体はこのタイプのゲームにありがちなシステムなのだが、リトライ回数が増えてくると心が折れてしまう。だって人間だもの。

 今日はここまで。翌日やり直そうと思ってログアウト。再度ログインすると、なんと作成したはずのウォーカーがなくなっていたのだ。え、ホントに?

ログインしてみると愛機のウォーカーがない……。

 どうもログアウトしたエリアとは異なる場所から再開してしまったようで、愛機を離れたエリアに置いてきてしまったらしい。しかも悲しいことに元のエリアへの戻りかたもわからない。

 いろいろ調べてみたものの対策が見つからず、イチから作り直す羽目になった。まぁ、これもまたいい経験だと割り切り、涙を拭きながら新しいウォーカーを作る。この話を担当編集者にしたら、彼はゲラゲラ笑っていた。鬼か。

 何度も倒されてからリスポーンをくり返すうちに、スタート時の動きというのがわかってきた。知識と知識がアイデアという線でつながるのが、自由度が高いゲームのおもしろい瞬間だ。

 まず必要なのは木と布。これを組み合わせることで武器が作れる。また油断すると水が不足してカラカラになってしまうので道中でサボテンを集めていく。

サボテンが水の材料になる。ピンチのときはサボテンを食べれば僅かながら喉の乾きを潤すこともできる。

 そして、道中で石を集めておくと、Rupuが持っている“木のシャフト”と組み合わせて斧が作れる。斧を使えば木を切ることができるし、サボテンの木から実を集めるペースも上がるのだ。

 そんなこんなでチュートリアルが終わった、集めた水を消費するとほかのエリアに移動できる。いよいよ外のエリアに旅立つときが来たのだ。

 外に出てからも丁寧なガイドは続いた。徐々にできることが増えていくのは楽しい。服の作りかたなどを学んで身に着けることで、「この世界を旅している」という実感が強まっていく。

書き忘れていたが、ここまでは半裸のおじさんが砂漠を生き残るという、ビジュアル的にも厳しい状況だったし、防御力も低すぎるしで悲惨なものだった。

ほかのプレーヤーの痕跡を発見。観光していると大変な目に!?

 『Last Oasis』はまだアーリーアクセス中(完成版ではなく、開発を続けながらプレーヤーにも遊ぶ環境を提供しているβテストのようなもの)のゲームだ。サーバーメンテナンスなどもちょくちょく実施される。

 ある日のメンテナンス時は告知が表示されたので少し早めにログアウト。時間をあらためてウキウキ気分で再度ログインしたところ、またウォーカーがない。あとで確認したらちゃんと保存されていてホッとした。

 ただ、もう初期ウォーカーくらいなら作るのはお手のものだ。素材を集めて何台目かの愛機を作成した。

 マップ探検中に、どこかの団体が建てたらしい巨大な建築物を発見した。これだけ大きなものを作れるということは、この地域は安全なのかもしれない。スクリーンショットを撮りまくった。

誰かが巨大な建造物を作成していた。ちょっと殴ってみたが、この大きさともなると破壊は難しいようだ。

 観光を堪能した後は近くにあった保管箱からきっちりアイテムを拝借。そういうゲームなのだ。きっと許してくれるはず。

 こういうときの躊躇がなくなり、自分もこの世界になじんできたなあと感じる。

隠すように置かれていた箱。誰かが物資を保管しているのだろうか。
破壊して中身を見ると……いろいろ入ってる、ラッキー!

 のんびり観光をしすぎたせいかそろそろ喉の乾きがピークになってきた。だが大丈夫。近くに水場があるので、水は実質無限に汲める――って“汚染された水”しか手に入らない! しかも飲むとダメージを受ける!

 どうすればいいんだ……。背に腹は代えられない。筆者は水を飲んでダメージを受けながら、包帯で体力を回復するという応急処置で凌ぐことにした。

喉の乾きを癒せるもののダメージを受けてしまう。仕方ないので包帯で体力を回復しながら水を飲む。

 さすがにこれを続けるわけにはいかない、きっと何かをクラフトすれば水を入手する方法もあるはず……。と、ここで技術ツリーに汚染された水を浄化する技術があるのを見つけた。これだ!

 技術ツリーをアンロックして“綺麗な水”を入手、フィールドでカラカラになるのはなんとか防ぐことができた。

汚染された水を“浄化された水”にする方法を発見! これで干からびずに済みそうだ。

 ところで、この原稿執筆時点では、筆者はほかのプレイヤーに襲われていない。いまいるエリアが過疎地なのか、まだ序盤なのでベテランプレイヤーたちに会えていないだけなのかはわからないが、トラブルに出会えないのは少し寂しい。

 ただ、ほかのプレイヤーの痕跡が感じられたのはよかった。ノマドな旅をしている感じがする。

 噂によると場所によっては修羅の世界らしく、生き残りをかけたサバイバルが行われているとのこと。筆者はほかのプレーヤーに襲われる前に、敵NPCに襲われ瀕死になり、命からがらに逃げていたら今度は水がなくてカラカラになっているという具合で、ひとりで必死にサバイバルをしている。

 あたふたしっぱなしだが、緊張感があってこれはこれで楽しい。

過去の文明の遺跡なども残されている。きっちりと漁ってアイテムをいただく。

 記事で扱うゲームタイトルを決める基準は、“すごく人気があって注目度が高い”や“自分が好きなゲーム、おもしろいゲーム”などが一般的だ。

 だが、担当編集者が『Last Oasis』を選んだ理由は「人が旅先で右往左往する様子が見たかったから」だという。鬼か。たしかにゲーム内で旅も観光もできたけど。

 ゲーム内で出会ったら略奪することを固く誓った筆者であった。覚悟しとけよ。

名作たくさん。おすすめオープンワールドゲームを紹介

 こういった“もうひとつの世界での体験”ができるのは、オープンワールドゲームの大きな魅力のひとつ。

 オープンワールドやそれに類するジャンルを銘打つタイトルは増加中だ。広いフィールドを冒険するのがこの手のゲームの醍醐味。ただ広いだけでなく、広さに意味があったり、その世界ならではの遊びをユーザーに想像(創造)させるゲームには、多くの人を夢中にさせる魅力がある。

 『Last Oasis』で言えば、ウォーカーで砂漠を走ってしみじみとした感情を味わうこと。そして、そこにあったかつての文明に思いをはせること。それは少し旅に似ていた。

ウォーカーに乗ることや移動すること自体を目的として楽しめる人なら、フィールドの広さにも納得できると思う。

 『Last Oasis』は特殊な部類に入るが、広さに意味があり、ファンに愛されているタイトルは少なくない。観光的な旅をしたいなら『ザ クルー2』、荒廃した世界の雰囲気を感じたいなら『Fallout 76』という選択肢も。

 ほかにも、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』、『デス・ストランディング』、『ザ エルダースクロールズ V: スカイリム』など。厳密にオープンワールドゲームと銘打っていなかったりもするが、どれも名作だ。『Last Oasis』ほどのハードさはない……と思う。

 紹介したいゲームはいろいろあるものの、本稿の締めとして筆者おすすめの3本をピックアップ。遊びがあって、自由で、旅さながらに異国を感じられるもの。その中で紡がれるゲームの楽しみこそ、閉塞感漂うこの日常に必要なものではないだろうか。

『ジャストコーズ4』

 オープンワールドゲームというより、“サンドボックスゲーム(遊びかたを自由に考えられるゲーム)”として愛される『ジャストコーズ4』。プレイヤーは諜報エージェントのリコ・ロドリゲスを操作し、南米の仮想国家“ソリス”に潜入する。

 使用できる武器はありきたりな銃からロケットランチャー、さらには電撃を放つライトニングガンまで、より取り見取り。ビークルも乗用車から戦車、航空機にブルドーザーなどなどが登場。これらを使って大暴れするのだ。

 本作の特徴は“自由な破壊”にある。正攻法に正面から戦車で突っ込んで暴れてもいいし、エアリフターという兵器で巨大な燃料タンクを敵基地の上空から落としてもいい。オープンワールドという世界に、多数の道具があって、プレーヤーの想像力でそれらを生かして破壊を楽しむ。まさにサンドボックス(砂場)だ。

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『ARK: Survival Evolved』

 つぎに紹介するのは『ARK: Survival Evolved』。2015年にPC版がリリースされた古めのタイトルだが、Vtuberプロジェクト“にじさんじ”によるライブ配信で改めて人気に火がついた。

 恐竜が跋扈する大自然を舞台に、拠点を作るクラフト要素、サバイバル要素に加え、恐竜をテイムするというユニークな要素が特徴のサバイバルゲーム。もちろん、ほかのプレイヤーに襲われることも。文字通りに自由で殺伐としたもうひとつの世界が広がっている。

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『アサシン クリード オデッセイ』

 『アサシン クリード』はユービーアイソフトが開発するオープンワールドのステルスアクションシリーズ。シリーズ作は数多く、作品によって国や時代背景などがまったく変わることもあり、根強いファンが多い。

 どのシリーズ作品にも共通するのは異常なまでの世界の作り込み。こんなに細かいところまで⁉ と驚くこと間違いなし。今回はそんなシリーズ作品の中から『アサシン クリード オデッセイ』をピックアップ。

 古代ギリシアが舞台で、精巧に再現されたギリシアの町並みをシリーズならではのパルクールアクションで駆け抜けたり、当時の軍船に乗り込み海戦をくり広げたり……。古代ギリシアというもうひとつの世界をたっぷりと堪能できる作品になっている。

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