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Xbox Series Xで感じた後方互換の侮れなさ:ゲームやセーブデータやスクショが積もり積もれば、思い出どころか歴史となる - IGN JAPAN

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次世代機となるXbox Series Xを買った。無骨な本体! 触り心地のよいコントローラー! ほかのゲームに移ってもその後すぐ復帰できる「クイックレジューム」は特に驚くべき機能といえる。

しかし、次世代機はタイトルがきちんと揃っているとは言い難いのが現状である。特にXbox Series X/Sはこれでしか遊べないといった作品が少ないし、目玉タイトルといえる『Halo Infinite』も2021年に延期しているのだ。ゆえに多くのプレイヤーは、新しいハードを買って充実した後方互換タイトルを遊ぶことになる。

正直なところ「後方互換なんて別にいらなくない?」と思う人もいるだろう。私も似たような考えで、後方互換は“あれば嬉しいが必須ではないレベル”だと感じている。やはり、ゲームハードは新たなタイトルのために買うもの。ゆえに現状のXbox Series X/Sは魅力に欠けるのではないかと考えていたが、触り続けているうちに「ここまで充実していれば、後方互換も侮れないのでは」と感じるようになった。

データを移行せずとも、「過去のXbox」が目の前に現れる

まず最初に驚いたのは、Xbox Series Xの設定を済ませたら5~6年前のスクリーンショットや動画が出てきたことだ。Xbox Oneからデータを移行したわけでもなく、本当に電源・HDMIケーブルをつなぎ、インターネット接続を済ませただけなのに、である。

スクリーンショットなどはゲーマータグ(Microsoftアカウント)に紐付けされていて、Xbox Live(クラウドサーバー)にアップされていれば自動で移行される。というよりむしろ、基本的なデータはXbox Live側で管理されており、それぞれのプレイヤーが各ハードでアクセスする形式だと考えたほうがよさそうだ。

『ダイイングライト』(2015) フレンドと一緒に蹴りでゾンビを殺している場面。元動画の解像度も低く映像も乱れているが、それでも懐かしくてたまらない当時の様子。

残っていたスクリーンショットも動画も懐かしいものばかり。『ダイイングライト』で、フレンドと一緒にゾンビを蹴り殺したり、あるいは落ちているサッカーボールで遊んだり、刀を宙に浮かせて奇妙な儀式をしているシーンが出てきて思わず笑ってしまった。特に残そうと思っていなかった5年前の記録が再び現れたのは嬉しいサプライズである。

Xbox Series X/Sは後方互換機能がすばらしく、かつて購入したXbox One・Xbox 360のDL版タイトルもふつうに本体に入れられる。パッケージ版ソフトも対応していればディスクを読み込ませてインストール可能。初代Xboxのタイトルも数こそ少なめだが、一部対応しているという。(後方互換タイトル一覧は公式サイトから閲覧可能。

配信停止になってしまったタイトルなどは残念ながら再DLはできないが、それでも過去に遊んだ大量のタイトルがライブラリに並ぶため、その様子は圧巻といえる。

『Gin Rummy』(2010)

もうひとつ驚いたことがある。私はかつてXbox 360で『Gin Rummy』というカードゲームを遊んでいた。「古典的なトランプ遊びだがアートワークがよくてけっこう遊んだな……」などと懐かしみつつXbox Series Xで再び起動すると、なんと200戦ほどした記録も残っていたのである。いたれりつくせりだ。

Xbox Series Xはスペックが高いので後方互換タイトルのパフォーマンスもよくなっているし、SSDのおかげでロードも非常に速く、HDRの自動付与もあり遊ぶ環境もしっかりしている。単純に過去作が遊べるだけではなく、きちんと整備されているのだ。

もちろん、かつてのフレンドリストも残っており、あまりにも懐かしい人が多すぎて涙が出そうになった。そして、久々に会った人からメッセージをいただいた。新しいゲーム機を買ったはずなのに、郷愁の念に駆られるのだ。

ゲームの思い出が熟成され、再びプレイヤーの前に戻ってくる

筆者のアカウントでインストール可能な後方互換タイトルの一部。第九で有名な『Peggle』、初期タイトルながらハマるパズル『Hexic HD』、年末のXbox Liveサーバーダウン補償で配布された『Undertow』など思い出に満ち溢れたタイトルがずらり。

もはやXboxは単なるゲーム機というよりも、「Xbox」という名前のブランド、あるいは幅広いプラットフォームになりつつある。スマホやタブレットでも据え置き機のゲームが遊べる「Project xCloud」も準備が進んでおり、仮に据え置きゲーム機が衰退したとしても、今後もXboxというブランドは残るのだろう。

ゆえに、Xboxを遊んだプレイヤーの過去はこれからもどんどん積み上がっていくと思われる。そして
セーブデータ、スクリーンショット、動画といった要素がどれも大事な思い出として残りうる。マイクロソフトが諦めなければ、だが。

そもそも考えてみれば、われわれは遊びにいった記録や子供の成長を写真や動画で残す行為をとる。そして、数年後や数十年後にそれを眺めて懐かしみ、楽しめるわけだ。ゲームでも過去を懐かしむ行為はよくあるわけで、極めて個人的な思い出を残すことに意義はあるだろう。

私はかつてXbox 360でよく遊んでいた。Xbox 360が発売されたのは15年前なわけで、それほど時間が経てば確かに記憶がほどよく熟成される頃合いだろう。Xbox Series Xの時代になってもそれらは切り捨てられずライブラリにきちんと並んでいるのだから、喜びもひとしおだ。

ゲームソフトのみならず、セーブデータも資産であり、ゲームを遊んだ体験もまた残しておきたい出来事だといえる。2世代前あたりから家庭用ゲーム機にもアカウント制が採用され、過去を残せるようになり、その重みが価値を生み出す時期にさしかかっているのかもしれない。

蓄積されたゲーム体験がプレイヤーを離さない

 
実績も懐かしすぎる。『Gears of War』と『ラストレムナント』の全解除はとにかくたいへんで、丸一日思い出話ができそうなくらいの体験だった。

いまのところ過去のゲーム体験は思い出といったところだが、そのうち歴史になりうるのではなかろうか。たとえば日記も時間が経てば貴重な資料だし、古い写真や雑誌をいまになって見ると得るものが多い。昭和の写真が味わい深いように、ゲームのスクリーンショット・動画・体験談もまたそうなっていくのではないか。

Xboxに限らない話だが、遊んだゲームの実績・トロフィーが積み重なっていくのもいいものだ。たくさんの作品を遊んだ人からすれば、実績・トロフィーを眺めながら思い出話をすることも可能になっているだろう。

こういったことを実感すると、後方互換を突き詰めるのは意味が出てくるのだと思わされる。アカウント制を採用した家庭用ゲーム機の歴史が長くなればなるほど、過去も新たな可能性になりうるのだ。老人になったころ、新たなXboxで過去のスクリーンショットやコレクションを眺めて思い出に浸れたら、それはとても幸せなことかもしれない。

……逆にいえば、Xboxの思い出を持っていない人にとっていまのXbox Series X/Sに魅力を感じないのも当然のことではある。記憶に刻まれるような新しく印象深いタイトルが出てこそ今後の思い出や歴史に残るわけで、頑張ってたくさんの新作を(可能であれば日本市場向けものも)リリースしてもらいたいことには変わりない。ともあれ、Xboxはゲーム体験における歴史の重みを一足先に理解しているプラットフォームに見えるのだ。


渡邉卓也(@SSSSSDM)はフリーランスのゲームライター。Xbox 360で発売された名作FPS『Shadowrun』も互換対応なので改めて遊ぶ予定。

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